2016/9/7

総合・マクロ

ロスアトム、サウジアラビアに原子炉16基の建設を提案

この記事の要約

ロシア原子力公社(ロスアトム)は5日、サウジアラビアに原子力発電所の建設で協力を申し出たと発表した。サウジアラビアが進めるインフラ整備計画に沿うもので、原子炉16基を設置する内容だ。また、両国エネルギー相は主要20カ国・ […]

ロシア原子力公社(ロスアトム)は5日、サウジアラビアに原子力発電所の建設で協力を申し出たと発表した。サウジアラビアが進めるインフラ整備計画に沿うもので、原子炉16基を設置する内容だ。また、両国エネルギー相は主要20カ国・地域(G20)首脳会議開催を機に杭州で会談し、原油市場の安定に向けて協力する姿勢で一致した。

両国は昨年6月、ムハンマド副皇太子(経済開発評議会議長、防衛相)の訪ロを機に、エネルギー、宇宙開発、原子力、投資などの分野での協力に向けて合意を結んだ。原発建設プロジェクトはムハンマド副皇太子が主導する国家改革計画「ビジョン2030」を構成するものだ。投資総額は1,000億米ドルで、2030年の完成が予定される。

原油価格安定については、両国が合同作業部会を設けて具体案を検討する。今月中、10月、11月に両国エネルギー相会談を実施する予定だ。現時点では具体像が明らかでなく、市場は様子見の姿勢だ。

ロシアとサウジアラビアはシリア問題や対イラン政策などで立場の違いが目立つ。ただ、ロシアはウクライナ問題で欧米との関係が悪化し、原油安が財政を大きく圧迫するなかで、これまで関係の薄かった国々との外交活動を積極化しており、サウジアラビアへの接近もその一環だ。

一方で歳入の7~8割を石油に頼るサウジアラビアは、原油相場の下落で財政赤字が急増している。米国がシェールガス採掘で中東エネルギーへの依存を弱め、アジア重視外交を展開させたことで、サウジアラビアも多方位外交への移行を模索。その中でロシアとの対話も積極化させている。(東欧経済ニュース2016年6月24日号「ロシアとサウジ、100億ドルを共同投資」を参照)