ポーランド、チェコ、ルーマニア、セルビアの東欧4カ国の中央銀行は今月、いずれも金利据え置きを決めた。インフレ見通しよりもユーロ圏の景気減速懸念を重視した判断で、様子見の態勢に入っている。これら4カ国の金利政策の足並みがそろうのは珍しい。世界経済の見通しに影が差す中、欧州中央銀行(ECB)が利上げする可能性が狭まっていることが背景にある。
ポーランドは12月のインフレ率が過去2年間で最低値を記録したが、世界経済の見通しを受けて主要政策金利を年内は1.5%に据え置く姿勢だ。同国のインフレ率は6年にわたり目標値(2.5%)を下回っている。一方で経済成長率は昨年5.1%と好調だが、米国を含む他国の中銀が金融引き締めに転じる可能性があるため、利上げ判断を先送りする。
チェコ中銀は昨年、5回の利上げを実施し、欧州の金融引き締めを先導してきたが、7日の金融政策理事会で外的リスクを理由に現行金利(1.75%)の2カ月連続の据え置きを決めた。ルスノク総裁はインフレ圧力の高まりに触れ、年内に1~2回、利上げを実施することも「考えられる」としている。エルステ銀行(オーストリア)のアナリスト、ポランスキー氏は「外的要因を重視した結果」と推測する。
ルーマニア中銀は7日、昨年の3度の利上げでインフレが鎮静したのを受けて、6カ月連続で2.5%の金利据え置きを決定した。一方で、政府が今年初めに導入した新税で、銀行間貸付金利が2%を超える資産に対し課税されることになり、金利政策の可能性が狭まった。イサレスク総裁は、政府との協議を続け、粘り強く解決策を探る意思を明らかにしている。
セルビア中銀は昨年4月に過去最低の3%へ利下げした後、10カ月連続で金利を据え置いている。金融緩和で経済成長率は昨年4-6月期(第2四半期)に4.9%を記録したが、以降は7-9月期(第3四半期)3.8%、10-12月期(第4四半期)3.5%と減速している。中銀は、世界の動向を見極めた慎重な金利判断の必要性を改めて確認している。