2019/5/29

総合・マクロ

リトアニア大統領選、無所属のナウセーダ氏が当選

この記事の要約

リトアニアで26日行われた大統領選挙の決選投票は、中道右派・無所属のギターナス・ナウセーダ候補(55)が、同じく中道右派・祖国連合=キリスト教民主党(TS-LKD)が推薦するイングリダ・シモニーテ元財務相(44)に大差を […]

リトアニアで26日行われた大統領選挙の決選投票は、中道右派・無所属のギターナス・ナウセーダ候補(55)が、同じく中道右派・祖国連合=キリスト教民主党(TS-LKD)が推薦するイングリダ・シモニーテ元財務相(44)に大差をつけて当選した。新大統領は7月12日に就任する。

中央選管の発表によると、得票率はナウセーダ候補が65.9%、シモニーテ候補が32.9%、無効票が1.3%だった。投票率は53.4%で、2014年の前回決選投票より6ポイント高かった。

リトアニアの大統領は主に儀礼的役割を果たし、経済政策に直接かかわることはない。しかし、今回の大統領選の最大の争点は、貧富の差や地方格差といった日々の生活に関わる問題だった。両候補とも欧州連合(EU)内で2番目に大きい貧富差を取り上げ、その改善を約束したが、シモニーテ氏は財務相時代に緊縮財政を貫徹したこともあり、国民の大きな信頼を得られなかったようだ。

ナウセーダ次期大統領は銀行顧問などを務めた経済専門家で、テレビ解説者として有名になった。「落ち着いた穏健な知性派」として知られている。無所属であるため、あらゆる政党と協力できると期待される。

外交面では、ロシアに対する防衛政策として、EU・北大西洋条約機構(NATO)加盟国であることの意義を強調している。ただ、「鉄の女」のあだ名を持つグリバウスカイテ現大統領がロシアのクリミア半島編入にあたり、ロシアを「テロリスト国家」と批判したのに対し、ナウセーダ氏は「言葉遣いを和らげる」意向を示した。一方で「ロシアの対ウクライナ政策に変更がない限り、ロシアとの関係改善はない」ことも確認した。

リトアニアは人口280万人。今年の経済成長率は2.7%の予測でユーロ圏19カ国平均の1.1%を大きく上回る。それにも関わらず、地方を中心に国民の30%近くが貧困・社会的排除のリスクに直面している。