2021/10/27

総合・マクロ

東欧諸国で新型コロナ流行が深刻化、各国で抑制策を再導入

この記事の要約

●ブルガリアでは「グリーンカード」の提示が義務化●患者数急増のバルト3国ではリトアニアがロックダウンを実施東欧諸国で新型コロナウイルス感染者が急増している。医療崩壊を防ぐため、各国政府が再び感染抑制策を導入しつつある。ブ […]

●ブルガリアでは「グリーンカード」の提示が義務化

●患者数急増のバルト3国ではリトアニアがロックダウンを実施

東欧諸国で新型コロナウイルス感染者が急増している。医療崩壊を防ぐため、各国政府が再び感染抑制策を導入しつつある。

ブルガリアでは19日の新規感染者数が4,979人と、4月1日以来の高水準に達した。同国では成人のワクチン接種完了率が約25%と低く、新規感染者の80%強、死亡者の約94%が未接種者だ。

政府はこれを受けて、21日から新たに規制措置を導入した。屋内活動時にグリーンカード(免疫・陰性証明)の提示が義務化される(12歳未満は除外)。同カードは◇ワクチンを2回接種◇罹患して回復◇48時間以内の抗原検査及び72時間以内のPCR検査で陰性――の場合に発行される。

具体的には、飲食店や宿泊施設、映画館、劇場、コンサート会場、美術館、ショッピングセンター、運動施設、面積300平方メートル以上の小売店(食料品店は除く)への入場・入店が想定されている。

ツアー旅行は参加者全員がグリーンカードを保持していなければ名所を訪れることはできない。生徒・学生の社会見学なども同様だ。入院患者の面会は禁止。医療関係者及び老人ホームの職員はすべて、勤務にグリーンカードが必要となる。

学校は、過去14日間に人口10万人当たりの感染者数が750人を超えた地域のみ、遠隔授業を義務付ける。5年生から12年生の生徒は学校構内で常にマスクをしていなければならない。

大学の講義を対面でするか、オンラインでするかは各校の判断にゆだねる。ただし、対面の場合は出席者全員のグリーンカード保有が条件となる。

■ルーマニアも予防接種率は30%未満

ブルガリアと同様に成人の接種率(30%以下)が低いルーマニアでは、19日の新規感染者数が1万8,863人、死者数が561人と、過去最悪を記録した。人口当たりの死亡率も高い。

過去数週間の感染拡大で病院は患者であふれ、今週に入って集中治療室(ICU)の患者数が過去最高に増加した。世界保健機関(WHO)と他のEU加盟国はルーマニア政府の要請を受けて、人工呼吸器や酸素濃縮器、検査器材を提供している。

ルーマニアでも予防接種率が30%を切っており、ブルガリアと並んでワクチン接種の普及が流行鎮静化のカギとなりそうだ。

■バルト3国も患者急増、ラトビアはロックダウンを実施

一方、バルト3国でも新型コロナ患者が急増している。過去2週間の新規感染者数(人口10万人当たり)はリトアニアで972人、ラトビアで864人、エストニアで859人を記録した。

ラトビアでは病床使用率が80%を超える病院が出始め、医療崩壊が危惧されている。政府は先週、3カ月間の緊急事態宣言を発令し、幅広い規制措置を導入した。18日には追加措置として、21日から11月15日までロックダウン(都市封鎖)を実施すると発表。同措置によって生活必需品を扱わない店舗や飲食店、娯楽施設の営業が禁止される。夜間(午後8時~午前5時)の外出も禁止となる。学校は幼稚園、小学校の低学年を除き、オンライン授業に切り替わる。

ラトビアの成人のうち、新型コロナのワクチン接種を完了した人は54%で、EU平均の74%を大きく下回っている。このため感染が拡大しており、10日までの2週間の新規感染者は1万人当たり864人と、EUではリトアニアに次ぐ高水準だ。18日の1,253人の感染、7人の死者が確認された。

リトアニアでは予防接種率が70%に達しているにも関わらず、新型コロナの重症者が急増している。このため、今月に入って首都ビリニュスにある3大病院のうち2病院で、急患以外の受け入れを停止した。

エストニア政府も感染拡大を受けて対策を検討中だ。

スロバキアも患者が増加しており、政府が北部5県で対策措置を復活させた。