2021/12/22

自動車

ロシアのシェアードモビリティに大きな潜在成長性=米JPモルガン

この記事の要約

●配車・カーシェアの市場規模は26年までに50%以上拡大か●採算面では、高い維持費と燃料代が大きく足を引っ張る米投資銀行JPモルガンはこのほど発表したリポートで、ロシアのシェアードモビリティ(交通手段の共有)・サービスが […]

●配車・カーシェアの市場規模は26年までに50%以上拡大か

●採算面では、高い維持費と燃料代が大きく足を引っ張る

米投資銀行JPモルガンはこのほど発表したリポートで、ロシアのシェアードモビリティ(交通手段の共有)・サービスが巨大な成長の可能性を秘めているという見方を示した。配車・カーシェアリング部門だけでも市場規模が今年の9,000億ルーブルから26年には1兆4,000億ルーブル(約167億2,000万ユーロ)へ、50%以上拡大すると予想する。ただ、大手でも採算ラインを突破しているところは少なく、利益をどう稼ぎ出していくのかが課題となりそうだ。

JPモルガンが「次のトレンド」とみるのが、指定エリア内で路上乗り捨てができるフリーフロート型カーシェアリング。乗用車が実際に走行している時間は平均して10%で、残りは路上やガレージに駐めてある時間だ。このため、モビリティアプリを活用して共用し、1台1台の「稼働率」を引き上げられる可能性は高い。稼働率が上がれば社会全体で必要な台数が減り、駐車スペースも空く。そこを緑化することで生活の質を上げることもできると予想している。政府がカーシェアリングの長所を認めて支援する姿勢であることも追い風になりそうだ。

業界大手のヤンデックスについては、個人向け(B2C)カーシェアリングと、配車サービスの双方を利用する顧客ベースを築いている現在が、将来の利益につながる可能性を指摘する。ユーザーの行動形態を徐々に変化させ、配車サービス=タクシー利用に対する抵抗感を弱める効果が期待できるからだ。

一方、採算面をみると、ヤンデックスのカーシェアリング事業の稼ぎ頭は法人向けサービスで、26年には営業利益(EBITDA)の8割を占めそうな勢いという。この流れは、やはり同社が展開する電子商取引(EC)・配達サービス事業の需要拡大と結びついている。

ロシア・カーシェアリング市場の1位は上場を予定するデリモービルで、シェアは38%、自動車保有台数は1万8,000台。2位が36%を握るヤンデックスで、保有台数は1万7,200台だ。3位にはベルカカー(12%)、4位にはシティドライブ(10%)がつけている。

一方、採算性をみると、高い維持費と燃料代が大きく足を引っ張り、現状では収支トントンがいいところだ。また、市場成長の陰に政府の後押しがあるという事実は、将来的なリスクをはらむ。駐車許可料の引き上げといった規制上の変化が利益を圧迫しかねないからだ。(1RUB=1.53JPY)