2022/1/26

総合・マクロ

トルコ製造業が生産停止、イラン産ガスの供給減を受け

この記事の要約

●自動車のトファシュ、オヤック・ルノーなどに影響●問題発生から26日で1週間、今後の見通しは立たずイランが技術的理由でトルコ向け天然ガス輸出を減らしたのを機に、トルコ産業界へのエネルギー供給が減少し、多くの企業が生産停止 […]

●自動車のトファシュ、オヤック・ルノーなどに影響

●問題発生から26日で1週間、今後の見通しは立たず

イランが技術的理由でトルコ向け天然ガス輸出を減らしたのを機に、トルコ産業界へのエネルギー供給が減少し、多くの企業が生産停止に追い込まれている。両国政府の説明に食い違いがあり、今後の見通しが立たないことが不安に追い打ちをかけている。長引けば、ただでさえ深刻なトルコの経済情勢にさらなる打撃を与えるのは必至だ。

イラン政府は20日、パイプラインからのガス漏れを理由に10日間、天然ガスの供給をストップすると発表した。これを受けてトルコ政府は、ガス火力発電所に40%の消費削減を指示した。また、ガス供給会社に大口需要家への供給を60%削減するよう要請した。

イランは21日にガス輸出の全面再開を宣言したが、トルコ側は通常の供給量を大きく下回っているとした。トルコ国営電力は発電量の低下を理由に24日から最低3日間、産業向け電力の供給を停止した。ただし、医薬品、牛乳、肉製品など必需品を製造する企業は例外としている。

停電措置を受けてトルコの多くの企業が生産を停止した。その中には自動車のトファシュ、オヤック・ルノー、自動車部品のエゲ・エンデュストリ、製紙のカルトンサン、防衛・自動車部品のカトメルシレル(Katmerciler)などが含まれる。

イランとトルコは供給量だけでなく、そもそも問題が始まった「技術的問題」についても互いの国のインフラに故障があったと主張している。正確な情報が伝わらず、見通しも不透明なことで産業・経済界の不安が膨らんでいる。

トルコは電源の半分以上を天然ガスに頼る。天然ガスはほぼ全量をロシア、アゼルバイジャンなどから輸入する。ロイター通信によると、イランからの調達量は2021年1—10月期に需要の16%を占めた。