2022/2/9

総合・マクロ

ハンガリー首相が訪ロ、EUとの距離感をアピール

この記事の要約

●両国は天然ガスの供給拡大で実質合意●オルバン首相はウクライナ情勢でロシアに理解示すハンガリーのオルバン首相は1日にロシアを訪問し、同国のプーチン大統領と会談した。ウクライナ情勢をめぐってロシアと欧州連合(EU)の緊張が […]

●両国は天然ガスの供給拡大で実質合意

●オルバン首相はウクライナ情勢でロシアに理解示す

ハンガリーのオルバン首相は1日にロシアを訪問し、同国のプーチン大統領と会談した。ウクライナ情勢をめぐってロシアと欧州連合(EU)の緊張が高まる中、EUの方針に一定の距離を置く立場をアピールし、エネルギー調達などでハンガリーの利益を引き出す狙いとみられる。

会談後の共同記者会見でオルバン首相は、昨年9月に結んだ天然ガス長期調達契約の枠内で供給量を現行の年45億立方メートルから55億立方メートルへ引き上げることを要請したと明らかにした。エネルギー価格が急進する中、将来的に調達価格の安定を図る狙いがある。プーチン大統領は前向きに検討する姿勢を示している。

一方、ウクライナ情勢についてオルバン首相は、ロシアに「ウクライナ問題を先鋭化させる意図はない」という見方を示した。そのうえで、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟否定を含む安全保障上の確約を「プーチン大統領が求めるのは自然のことで、交渉の下敷きとなるもの」と話した。

オルバン首相は対ロシア制裁についても反対の姿勢を貫いている。ロシアのウクライナ侵攻をけん制するため、制裁案の法制化に米国が動くなか、「望むような効果は上がらない」という意見を先ごろ明らかにした。2014年のクリミア併合を受けたEUの対ロ制裁についても「ハンガリーにとっては害の方が大きい」と述べている。

オルバン首相はEU加盟国の首相でありながら、ロシアに理解を示す立場を示すことで自らの利益を引き出す戦略をとってきた。一方、ウクライナとの関係は同国がウクライナ語での授業の割合を高める法律を制定した17年以来、悪化したままだ。ハンガリーはこれを機に、対ウクライナ関係におけるNATOの決定機関、NATO・ウクライナ委員会の活動を阻み続けている。