露IT大手ヤンデックスの親会社であるオランダのヤンデックスNVは5日、ヤンデッ
クスを含むロシア資産すべてを同国の投資家グループに売却することで合意したと
発表した。取引額は4,750億ルーブル(約48億1,000万ユーロ)で、現金と株式を組
み合わせて支払われる。2年前にロシアがウクライナに軍事侵攻を開始して以来、
最大規模の企業撤退となる。
買い手である投資グループは国営石油企業ルクオイルが所有する投資ファンドなど
によって支援されている。グループを構成する企業はいずれも欧米による制裁を受
けていないという。
ヤンデックスは「ロシアのグーグル」とも呼ばれるナスダック上場企業。主要事業
の検索エンジンや広告、配車サービスのほか、電子商取引(EC)、フードデリバ
リー、娯楽サービス(動画配信など)などを展開している。ウクライナ侵攻以前は
世界的な企業になる可能性を秘めた数少ないロシア企業の一社だった。今回の合意
により同国最大のテクノロジー企業は完全にロシア政府の支配下に置かれることに
なる。
ロシア政府は撤退する外国企業に対し売却資産を50%以上割り引くことを義務付け
ている。ヤンデックスNVはこれを踏まえ、取引価格には「公正な価値」に対し最低
でも50%の「強制的な割引」が反映されているとしている。現金対価はロシア国外
では中国人民元で支払われる。
売却後もヤンデックスNVは、同社が事業の中核と位置付けるクラウド、データソ
リューション、自動運転、教育テクノロジー(エドテック)の4分野のポートフォ
リオと、フィンランドのデータセンターを維持する。これらの事業の従業員は約1,
300人。
2024/2/5
東欧経済ニュース速報