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2025/4/30

東欧経済ニュース速報

トルコ、ハイテク技術開発支援で輸出拡大へ

トルコが先ごろ発表した「2030年産業技術戦略」によると、同国は原子力エネル ギー、グリーン水素、バッテリー・エネルギー貯蔵システム、二酸化炭素回収貯留 (CCS)の技術・設備生産を立ち上げる方針だ。重要原材料のバリューチェーン構 築も計画する。政府は、電動車、太陽光・風力発電とならび、半導体技術や自動運 転車、飛ぶクルマ、サイバーセキュリティ・ソリューションの開発を支援すると言 明した。 これらの措置は、工業製品輸出を2024年の2,470億ドルから4,000億ドルへ引き上げ る計画の一環だ。 トルコは2030年末までに、ハイテク輸出高を300億米ドルへ3倍化する目標を掲げ る。同時に、国内スタートアップの評価額で1,000億ドルを目指している。 トルコでは現在、露ロスアトムが国内初のアックユ原子力発電所を建設している が、政府は今後、設備・インフラ産業クラスタを組織し、これらの技術の国産化を 目指す。溶融塩原子炉(MSR)も開発候補に加えられている。原子力技術パークの 設置は、トルコ科学技術研究会議(TUBITAK)、トルコのエネルギー・原子力・鉱 業研究所(TENMAK)、イスタンブール工科大学が実施する。 TUBITAKは国産電解槽の開発も担当する。グリーン水素の生産・貯蔵・輸送・消費 までのバリューチェーンを国内に構築する目的で、鉄鋼、石油化学、肥料などエネ ルギー消費の大きいCO2排出削減が困難な産業(Hard-to-Abate産業)のエネルギー 源として水素を活用する考えだ。 水素は、大型車を含む燃料電池車の走行にも利用が予定される。風力・太陽光発電 で電解槽を操業してグリーン水素を作るパイロットゾーンが整備される見通しだ。