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2010/1/6

総合 - ドイツ経済ニュース

フラッシュモブ型ストに小売団体が違憲訴訟

この記事の要約

独小売業中央連盟(HDE)は12月28日、フラッシュモブ型の争議行動を合法とした連邦労働裁判所(BAG)の判決を不服とし連邦憲法裁判所(BVG)に違憲訴訟を起こしたことを明らかにした。同タイプのストが正当とされると、労使 […]

独小売業中央連盟(HDE)は12月28日、フラッシュモブ型の争議行動を合法とした連邦労働裁判所(BAG)の判決を不服とし連邦憲法裁判所(BVG)に違憲訴訟を起こしたことを明らかにした。同タイプのストが正当とされると、労使の力のバランスが労働側に有利な形で崩れ長年培われてきた労使交渉の約束事を守ろうとする意欲が労働サイドで弱まるため、労使が自律的に協定を結ぶという「労使協定の自律(Tarifautonomie)」制度が掘り崩されると懸念している。

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フラッシュモブとはインターネットや携帯電話を介して不特定多数の人が特定の時間に特定の場所に集合し、事前に取り決めた行動を行うことを指す。サービス労組Verdiは2007年12月、小売業界のストでこれを初めて活用、小売店の営業を妨害する活動を展開した。具体的にはフラッシュモブの参加者に◇小額商品を持ってレジに長い行列を作らせ、レジ機能を麻痺させる◇ショッピングカートに大量の商品を入れたうえで店内に放置する――行動を行うよう呼びかけた。

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BAGの裁判官は09年9月の判決で、労働争議の手段を自由に選ぶことを保証した基本法(憲法)9条3項の規定を指摘。抗議活動の標的となった雇用主が自衛手段を持たない場合を除きフラッシュモブ型の争議活動は認められるとの判断を示した。裁判に持ち込まれたケースに関しては、雇用主は◇家屋不可侵権(Hausrecht)を行使してフラッシュモブ参加者に店外退去を命じることができた◇一時的に閉店することもできた――として、自衛手段を持っていたとの認識を示した。

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HDEはこれに対し、経営者にはフラッシュモブ型ストに対抗する適切な手段が事実上なく、他の企業と団結して対処する権利が侵害されると指摘。BAGの判決は机上の空論だと批判している。

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