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2010/1/6

企業情報

Deutsche Telekom AG―スマートグリッドでABBと提携―

この記事の要約

電機通信大手のDeutsche Telekom(ボン)が重電大手ABB(スイス・チューリヒ)と共同で将来性の高いスマートグリッド市場に参入する。Deutsche Telekomの広報担当者は12月末、子会社T-Syste […]

電機通信大手のDeutsche Telekom(ボン)が重電大手ABB(スイス・チューリヒ)と共同で将来性の高いスマートグリッド市場に参入する。Deutsche Telekomの広報担当者は12月末、子会社T-SystemsとABBが基本合意書に署名したことを明らかにした。2010年第1四半期中に最終合意する予定だ。

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スマートグリッドとはIT技術を活用して電力需給を調整し省エネを図る構想・システムを指す。消費者には夜間電力などを利用することで光熱費を節約するメリットが、発電事業者にも電圧を一定に保つために発電量を増減させるなどの手間が少なくなるという利点がある。

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ドイツではスマートグリッドの実現に欠かせないハイテクメーター(スマートメーター)を新築と大幅改築住宅に設置することが2010年1月1日から義務化された。また、電力会社は使用する時間帯などに応じて料金が変わる変動料金体系を同年末までに導入しなければならなくなった。

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両社はこうした事情を踏まえて提携に踏み切る。Deutsche Telekomは変動料金に関するノウハウを通話料金の分野で培ってきた実績を持つ。現在はフリードリヒスハーフェン市でスマートグリッドの実用試験を進めている。一方、ABBは送電網の制御技術に強く、両社の補完性は高い。売り込み先としてはスマートグリッド技術の独自開発が難しい中小の電力事業者を想定している。

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Deutsche Telekomは国内の電力メーターが2016年までにスマート・メーターにすべて置き換えられると予想している。ハイテク業界団体Bitkomによると、変動料金制度の導入により節約される一般世帯の消費電力は年9.5テラワット時に達する見通しだ。

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