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2010/2/17

経済産業情報

有機半導体のナノ構造画像化に成功

この記事の要約

チュービンゲン大学とミュンヘン工科大の研究チームは、近接場光学顕微鏡(SNOM)と呼ばれる顕微鏡を用いて、有機半導体の1種であるジインデノペリレン(DIP)の光学スペクトルと表面の凹凸構造を世界で初めて画像化した。表面プ […]

チュービンゲン大学とミュンヘン工科大の研究チームは、近接場光学顕微鏡(SNOM)と呼ばれる顕微鏡を用いて、有機半導体の1種であるジインデノペリレン(DIP)の光学スペクトルと表面の凹凸構造を世界で初めて画像化した。表面プラズモン効果を利用して感度と分解能を高めることで、17ナノメートル(nm)の空間分解能で可視化することに成功した。有機半導体のナノ構造の観察が可能になったことで、より高性能の有機デバイスの開発に弾みがつきそうだ。

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従来の光学顕微鏡の分解能(2つの点を区別することのできる距離)には、照射する光の波長(λ)の半分程度という物理的制限(回折限界)がある。可視光の領域で200~300 nm程度で、これより小さな物質は観察できないことになる。

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この限界を超えるために開発されたのがSNOMだ。光を波長より短い直径を持つ微小孔に入射すると、この微小孔の半径ほどの領域に近接場光(エバネッセント光)と呼ばれる光が発生する。この光を試料に当てると、波長以下の微小な構造を観察できる。電子顕微鏡などに比べ試料の情報を豊富に得られるメリットがある。

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チュービンゲン大学のアルフレート・マイクスナー教授を中心とする2大学研究チームは、光ファイバー(コア部分)の先端部を金チップで覆い局在プラズモン共鳴を誘起させた。同時に、照射/集光用対物レンズ(超高開口数対物レンズ)でも表面プラズモンを励起させてこの両者を組み合わせ、感度や分解能を飛躍的に高めることに成功したという。

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同研究の成果は『Physical Review Letters』第104巻5号(2010年2月)に発表された。

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