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2010/7/7

総合 - ドイツ経済ニュース

社会保険手続の電子化、凍結の見通し

この記事の要約

ドイツ政府が進める社会保険の給付手続電子化(ELENA:electoronischer Entgeltnachweis)プロジェクトが凍結される見通しだ。コスト負担が当初予想を大きく上回ることがほぼ確実となったためで、ラ […]

ドイツ政府が進める社会保険の給付手続電子化(ELENA:electoronischer Entgeltnachweis)プロジェクトが凍結される見通しだ。コスト負担が当初予想を大きく上回ることがほぼ確実となったためで、ライナー・ブリューデルレ連邦経済相は5日、無期限で棚上げにすることを提案した。

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被用者が育児休暇手当てなど社会保険の給付を申請する際、これまでは雇用主が紙媒体の証明書を提出してきた。一方、ELENAシステムでは被雇用者の給与などのデータを社会保険庁に設置した中央コンピューターで一元管理するため、企業は社員の給与証明や在籍証明を発行する手間から解放され、ドイツ全体で年8,500万ユーロのコスト削減につながるとされる。同サービスは2012年にスタートする予定で、企業は今年1月から必要なデータを中央コンピューターに送信している。

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システム運用に必要な電子署名のコストは当初、被用者1人当たり10ユーロとされていた。だが、自治体系団体の試算によると、実際には同60~80ユーロを要し、導入に伴うコストの総額は当初見積もりの約5,500万ユーロから32億ユーロに膨らむ見通し。

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政府はこれを受け、プロジェクトの凍結を近日中に発表するもようだ。一方、独雇用者団体連合会(BDA)のディーター・フント会長は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に対し「ELENAの構想は疑問の余地なく優れている」と明言。費用対コスト問題の解決に取り組みつつプロジェクトを継続するよう要求した。

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