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2010/7/21

経済産業情報

高速鉄道ICE、32度超でクーラー効かず

この記事の要約

ドイツが誇る高速鉄道ICEのクーラーは気温が32度を超えると機能しなくなる――。連邦鉄道庁(EBA)のゲラルド・ヘルスター長官がドイツ鉄道(DB)に宛てた14日付の書簡をもとに、『ハノーバーシェ・アルゲマイネ(HAZ)』 […]

ドイツが誇る高速鉄道ICEのクーラーは気温が32度を超えると機能しなくなる――。連邦鉄道庁(EBA)のゲラルド・ヘルスター長官がドイツ鉄道(DB)に宛てた14日付の書簡をもとに、『ハノーバーシェ・アルゲマイネ(HAZ)』紙が15日報じ、DBが追認した。DBではICEのクーラーが故障し乗客が熱中症にかかる事件が10日、相次いで発生。公共第2放送(ZDF)によると、車内温度が70度に達していたケースもあるようだ。長距離列車でクーラーの故障が起きた件数は14日までの5日間で41件に上る。

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ヘルスター長官は書簡のなかで、DBの取締役会から12日に得た情報を「気温が32度を超えると冷却機能が発揮されなくなる。(事故が連発した10日は)そのうえ不幸な事情により空気の取り入れもできなくなった」と要約。そのうえで、DBは乗客の安全を確保する法的な義務に違反したと考えざるを得ないと批判した。DBによると、ICE1型、2型車両のクーラーは32度、最新のICE3型車両も35度を超えると冷房機能を発揮しない。

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一方、連邦交通省のエナーク・フェルレマン政務次官はラジオ番組のなかで、ICE車両は電気系統が弱く、エアコン以外の問題がこれまでに数多く起こっていたことを明らかにした。

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DBは事件を受け、製造元の独シーメンスと共同で専門家からなるタスクフォースを設置した。ICEのテスト走行などを実施し、原因を究明する意向だ。

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野党・社会民主党(SPD)は議会に調査委員会を設置することを要求。DBのコスト削減が安全性軽視につながってないかどうかのほか、今回の事件の責任の所在も明らかにしたいと意欲を示している。

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