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2010/8/4

ゲシェフトフューラーの豆知識

病欠届の送達の遅れは警告理由にならず

この記事の要約

病気で会社を休む場合、社員は通常、その旨をまず電話などで伝えたうえで、医師が発行した労働不能証明書(Arbeitsunfaehigkeitsbescheinigung、通称ゲルベシャイン)を後日、提出しなければならない。 […]

病気で会社を休む場合、社員は通常、その旨をまず電話などで伝えたうえで、医師が発行した労働不能証明書(Arbeitsunfaehigkeitsbescheinigung、通称ゲルベシャイン)を後日、提出しなければならない。こうした決まりは労働契約書に明記されており、ゲルベシャインを期日までに提出できなければ処分されても文句は言えない。では、郵送したゲルベシャインの送達が郵便局の都合で遅れた場合は果してどう扱ったら良いのだろうか。今回はこの問題をめぐる裁判をお伝えする。

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判決文によると、裁判を起こしたのは被告企業に管理職として勤務する社員で、その労働契約所には「病気その他の理由で勤務できない場合、被用者はその旨を病欠する第1日目に雇用主に伝えなければならない。また、遅くとも病休3日目までに医師の証明書を提出しなければならない」と書かれている。

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原告社員は2009年4月17日(金)に医師の診察を受け、同日まで有効だった病休の延長証明書を受け取った。この新たなゲルベシャインを翌18日(土)にポストに投函したところ、封筒に刻印された消印は20日(月)となり、雇用主の手元に届いたのは提出期限翌日の23日(木)となってしまった。

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これを受け雇用主は警告処分を下し、これを不服とする原告は処分の取り消しを求めて提訴した。

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第1審のシュヴェリーン労働裁判所は原告の主張を認め、第2審のメクレンブルク・フォーポマーン州労働裁判所も09年10月、1審判決を支持した(訴訟番号:2 Sa 165/09)。判決理由で同州労裁の裁判官は、消印が投函の2日後の20日になったのは郵便物の回収が週末に行われなかったためだとの推論を提示。「原告は理性的に判断して彼に求められる義務をすべて果した」と述べ、原告に落ち度はなかったとの判断を示した。

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