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2010/9/22

経済産業情報

風力発電設備業界に再編の機運

この記事の要約

風力発電設備業界で今後、業界再編が始まる見通しだ。経済危機の影響で新規の風力発電プロジェクトの資金繰りが困難なうえ、米国の風力発電市場の不振を受け世界的に供給過剰に陥っていることが背景にある。中国を中心に新規の設備メーカ […]

風力発電設備業界で今後、業界再編が始まる見通しだ。経済危機の影響で新規の風力発電プロジェクトの資金繰りが困難なうえ、米国の風力発電市場の不振を受け世界的に供給過剰に陥っていることが背景にある。中国を中心に新規の設備メーカーも増加しており、米ゼネラル・エレクトリック(GE)で欧州再生可能エネルギー事業を担当するシュテファン・リッター取締役は「今後3~4年で業界の勢力地図は大きく変わる」と予想している。『フィナンシャルタイムズ(ドイツ語版)』紙が20日、報じた。

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同業界では世界最大手のデンマークのVestasやドイツの中堅メーカーNordex、Repowerを新興勢力が追い上げている。Vestasのハンス-ヨルン・リークス欧州社長は「市場が今よりも成長すれば供給過剰は解消するが、今の状態が2~3年続けば中小サプライヤーを中心に生き残れないメーカーも出てくる」と指摘。さらに、「発電大手がGEや独シーメンスなど発電設備一般を扱う大手メーカーと組んで風力発電プロジェクトを実施する機会が増えている」として、「長期的にはプロジェクトデベロッパーは姿を消す」と予測する。Nordexのトーマス・リヒタリヒ社長は「GEとシーメンスは3~5年で最大手Vestasを追い抜く」とみている。

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中国では政府の支援を受け、この5年で約80社の風力発電設備メーカーが誕生した。ただ、Vestasのリークス欧州社長は、ここでも再編が進むため「長期的に生き残れるのは最大で5社」と見込む。また、中国メーカーの台頭で価格破壊が進み、欧州メーカーの収益が大幅に押し下げられた太陽光発電設備業界の二の舞になることを懸念している。

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風力発電タービンの価格はここ数カ月の間にすでに米国で8~12%、欧州で5~7%下落。Vestasの今年第2四半期の最終損益はこれを受けて1億1,900万ユーロの赤字に転落した。

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