高圧送電網の拡張にドイツ鉄道(DB)のインフラを利用することをドイツ政府が検討している。DBの電車用架線に並行して高圧送電網を敷設するという案で、連邦建設省の報道官によると、「風力電力を輸送する送電網不足の問題解決策として実行可能な案だ」という。『ヴェルト』紙が3日付で報じた。
\政府は先ごろ閣議決定した新エネルギー構想に風力発電の大幅拡大方針を盛り込んだ。だが、北部の内陸や洋上に建設されることが多い風力発電所の電力を南部の人口密集地に輸送する高圧送電網の整備は、敷設予定地の住民の反対で思うように進んでいない。政府系の再生可能エネルギー研究促進機関Denaの試算によると、風力発電や太陽光発電の拡大に対応するため、2015年までに新たに約1,000キロメートルの高圧送電網を敷設する必要があるが、これまでに新設された送電網はわずか90キロメートルにすぎない。
\一方、鉄道線路を敷設空間として利用できれば、住民の反対に遭うことなく、送電網の拡張が可能になる。今回の案では架線用のマストの高さを今より最大15メートル引き上げ、空いた部分に最大500キロボルトの直流送電網を架線と並行して敷設するとしている。
\政府は来年末に、2020年までの高圧送電網拡張計画をまとめる方針で、それまでに鉄道利用案をなんとか軌道に乗せたい考え。ただ、DBのグルーベ社長は同案を否定しないものの、マストの高さを変えるには行政法に基づいた特別な手続きが必要だと慎重な立場を示している。
\独エネルギー水道産業連合会(BDEW)は送電網拡張に2020年までに計400億ユーロの投資が必要と試算しているが、政府の内部文書によると、鉄道を利用した場合の拡張コストは20~25億ユーロで済むという。
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