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2010/10/13

経済産業情報

導電性樹脂、新技術で製造時間短縮

この記事の要約

繊維強化樹脂(CFRP)に電導性を持たせるために添加するカーボンナノチューブ(CNT)を簡単に作成する技術をフラウンホーファー応用素材研究所(IFAM)が開発した。大気圧プラズマを用いてCNTの表面構造を変化させ、ポリマ […]

繊維強化樹脂(CFRP)に電導性を持たせるために添加するカーボンナノチューブ(CNT)を簡単に作成する技術をフラウンホーファー応用素材研究所(IFAM)が開発した。大気圧プラズマを用いてCNTの表面構造を変化させ、ポリマーに均質に混合しやすくするよう処理するというもので(大気圧プラズマ表面改質)、わずか数秒で処理が完了するという。

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IFAMが今回の研究に乗り出したきっかけは、航空機への落雷(被雷)だ。航空機が飛行中に被雷することは比較的頻繁に起こっており、被害を最小限に抑えるため航空機は素早く電荷を空中に逃がす必要がある。

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一方、機体を軽量化するために用いられるCFRPは金属に比べ導電性が低い。導電性が低いほど静電気がたまりやすく、機体に静電気がたまるほど被雷しやすくなる。この結果、◇通信装置に雑音が入る◇計器が正常に作動しない――などの電磁妨害が起き、事故につながる恐れがある。

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IFAMのチームはこの問題を解決するカギとしてCNTに注目した。CNTは導電性に優れており、少量を樹脂に添加することで樹脂にも高い導電性を持たせることができるためだ。ただ、従来の酸処理によるCNTの表面改質では数時間から数日の時間を要することから、この時間を短縮する技術の開発に取り組んだ。

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同チームが開発した技術は◇大気圧パルス放電プラズマによって反応室内に反応性雰囲気ガスを生成し、CNTを拡散させる◇CNTは直後に落下してくるため、これを溶液で受ける――という手順を踏む。この手法により、作成にかかる時間を大幅に短縮できるうえ、使用する化学物質や副産物の量も大きく減らせるメリットがある。

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IFAMは研究成果を、デュッセルドルフで10月27日~11月3日まで開催される「Messe K」見本市で紹介する予定だ。

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