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2010/10/20

経済産業情報

ダイムラーがカーシェアリング本格化

この記事の要約

自動車大手の独ダイムラーは18日、ドイツ第2の都市ハンブルクでカーシェアリング事業を立ち上げると発表した。自動車の所有に関心を持たない消費者が先進国の若者を中心に増えていることなどに対応。都市内での移動の利便性を提供する […]

自動車大手の独ダイムラーは18日、ドイツ第2の都市ハンブルクでカーシェアリング事業を立ち上げると発表した。自動車の所有に関心を持たない消費者が先進国の若者を中心に増えていることなどに対応。都市内での移動の利便性を提供することで、カーシェアリングを販売・レンタルに続く新たな市場として全世界的に開拓していく意向だ。

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同社はこれまで独ウルムと米オースティンでカーシェアリングのパイロットプロジェクトを実施してきた。ウルムでは2万人の利用者が年にのべ35万回乗車。利用者に占める18~35歳の若年層の割合は60%に上った。

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ダイムラーはパイロットプロジェクトの成果を受け、全世界の大都市で本格導入することを決定した。ハンブルクの計画はその第1弾で、超小型車「スマート」を2011年第1四半期から計300台投入する。レンタカー大手のユーロプカーと合弁会社を立ち上げて事業を共同展開、同合弁にはユーロプカーが75%、ダイムラーが25%出資する。

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利用者は登録料29ユーロを支払ったうえで、走行1分当たり29セントを支払う。1時間利用した場合の走行料金は14.90ユーロで、料金には燃料代と市内の駐車料金が含まれている。利用の手順は◇携帯電話ないしパソコンで予約を入れる◇現在地に最も近い場所にある空車をコンピューターシステムが利用者に通知する――というもので、利用後は市内の特定エリア内であれば自由に乗り捨てることができる。

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ダイムラーは今後、実施都市を増やしていく計画で、すでに欧米やアジアの都市と交渉を進めている。パリではスマートとメルセデス「Aクラス」の電気自動車を投入する方向で交渉を進めているという。

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自動車に対するニーズが多様化していることは競合のBMWも認識しており、同社のライトホーファー社長は先ごろ、「需要の変化に柔軟に対応することで、将来的には単なる自動車メーカーを超えた総合的なモビリティソリューションの提供者になる」とのヴィジョンを提示した。販売やリース、レンタルといった従来の枠にとらわれない市場開拓の動きは自動車業界で今後強まる可能性がある。

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