ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は20日、『2010年秋季景気アンケート調査』を発表し、「景気の基盤は底堅い」(ヴァンスレーベン専務理事)との見方を示した。好景気がすべての業界に幅広く浸透しているためで、実質国内総生産(GDP)成長率は今年3.4%を見込む。来年は2.4%とやや鈍化するものの、GDPの規模は経済・金融危機前の水準まで回復するとみている。今後についてはこれまでの外需に代わり内需が経済のけん引車になるほか、失業者が減少すると指摘。有力経済研究所が先ごろまとめた秋季予測やドイツ政府と共通する見方を示した。
\DIHKは毎年、年初と初夏、秋の3回、会員企業を対象に大規模な景気アンケート調査を実施しており、今回は2万8,000社強から有効回答を得た。
\それによると、事業の現状を「良い」とした企業は38%となり、前回の初夏調査(28%)から10ポイントも増加。「悪い」(12%)の3倍強の水準に達した。特に、消費者に近いホテル・飲食業や旅行業、小売業で改善が目立つ。また、建設業界では住宅・商業建築物の需要が増えているほか、景気対策の効果で公共需要も伸びている。製造業も輸出と企業投資が追い風となり好調だ。
\今後の事業展望に関してはこれまで同様、否定的な回答が減少したものの、改善を見込む企業の割合は横ばいの33%にとどまった。米国や欧州の一部で景気に勢いが欠けることが響いている。また、世界各国の景気対策が相次いで終了し始めるうえ、新興市場の成長鈍化が見込まれることもあり、輸出の改善見通しにもピークが近づいている。
\一方、今後1年間に投資額を「増やす」企業は29%に達し、前回調査から4ポイント増加した。「減らす」(15%)との差は14ポイントで、07年初夏に記録した過去最高(16ポイント)に大きく近づいた。これまでの輸出の好調が企業投資の拡大に反映されており、特に輸出型産業の自動車、金属製造、電機でその傾向が強い。ドイツ統一後最大の好景気に見舞われる小売業でも投資に前向きな企業が大きく増えている。
\雇用については拡大を計画する企業が着実に増えており、DIHKは2011年の失業者数が平均290万人まで低下すると予想している。雇用創出の中心となるのは金属、電機、機械などの製造業やIT、研究開発など知識集約型の分野で、深刻な人材不足に直面する企業は徐々に増えているという。
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