ドイツ企業2社が開発した電気自動車(EV)が10月26日、航続距離の世界記録を打ち立てた。途中で充電することなくミュンヘン~ベルリン間605キロを走行することに成功。ベルリンのブランデンブルク門で到着を待ち受けたブリューデルレ連邦経済相は、ドイツ発のEV用バッテリーは量産体制に入る時期を迎えたと述べ、EVが実用性の実現に大きく近づいたとの認識を示した。
\同EVはアウディ「A2」をベースにベルリンのバッテリーメーカーDBM Energyと電力会社Lekker Energieが開発した。EVで一般的なリチウム・イオン電池でなくリチウム・メタル・ポリマー(LMP)電池を利用することで、これまで150キロ程度にとどまっていたEVの航続距離を大幅に伸ばすことに成功した。トランクスペースを十分に確保できる点も同EVの強みだ。今回の試験では時速80~90キロで走行し、7時間で全区間を走り切った。
\ただ、今回の成功がEVの普及に直結するかについては専門家から疑問の声が出ている。PAコンサルティングの関係者は経済紙『ハンデルスブラット』に対し、「ミュンヘンからベルリンまで走行するには少なくとも70キロワット時(kwh)の発電容量が必要だ。現在のバッテリー価格が1kwh当たり800ユーロに上ることを踏まえると、バッテリーだけで5万6,000ユーロを要する」と述べ、経済的にみて実用性からはほど遠いとの認識を示した。
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