先週はこのコラムで新規採用に関する事業所委員会(従業員の利害を代表する企業内の機関)の共同決定権を取り上げた。今週は賃金の共同決定権について、このほど公開された連邦労働裁判所(BAG、最高裁)の判決に即してお伝えする。
\裁判を起こしたのはリハビリ施設でパートタイムとして勤務する女性職員。同施設では1989年の社内合意で、11月に特別手当を支給することが取り決められた。その額は「9月の給与に勤務地手当と一般手当を加えた額」とされていた。だが、雇用主は94年、事業所委員会に諮らずに変更。「9月給与の82.14%に勤務地手当と一般手当を加えた額」へと引き下げた。さらに2005年には9月給与の41.7%へと引き下げたため、原告はこれを不当として提訴した。
\BAGは6月22日に下した判決(訴訟番号:1 AZR 853/08)で、原告勝訴を言い渡した。判決理由で裁判官は賃金に関する労使の共同決定権を定めた事業所体制法(BetrVG)87条1項10の規定を指摘。雇用主が事業所委の同意を得ずに手当を引き下げたことは同規定に違反するとして、雇用主に対し05年の手当てを89年に取り決めた当初合意に従って支払うよう命令した。
\ \■事業所体制法87条1項
\事業所委員会は法律ないし(業界の)労使の取り決めがない限りにおいて、次の案件について共同決定権を持つ。…1項10 事業所の賃金、特に賃金に関する基本原則と新しい賃金支給方法の導入および適用、ならびにこれらの変更。
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