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2010/11/10

経済産業情報

ナノメートルレベルで情報書き込みに成功

この記事の要約

電気磁気効果と呼ばれる現象を利用して鉄薄膜層にナノメートル単位で磁化反転を起こし情報を書き込むことに、カールスルーエ工科大学(KIT)、マックス・プランク微細構造物理学研究所(MPI)などの研究チームが初めて成功した。従 […]

電気磁気効果と呼ばれる現象を利用して鉄薄膜層にナノメートル単位で磁化反転を起こし情報を書き込むことに、カールスルーエ工科大学(KIT)、マックス・プランク微細構造物理学研究所(MPI)などの研究チームが初めて成功した。従来の磁気記録方式が記録密度の限界に直面するなか、次世代の高密度記録媒体への応用に期待がかかる。

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固体中では通常、外部から加えられた磁場は磁化を、電場は電気分極を誘起する。これに対し、磁場をかけることによって電気分極が誘起されたり、電場をかけることによって磁化が誘起されたりする現象を電気磁気効果といい、磁性と強誘電性をあわせ持つ物質はマルチフェロイック物質と呼ばれる。今世紀に入って強い電気磁気効果を持つマルチフェロイック物質が次々に見つかったことをきっかけに、これまで存在し得なかった動作原理に基づく革新的な電子デバイスの創製につながるとして急速に関心が高まっている。

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KIT、MPI、ハレ大学の研究チームは、スーパーコンピューターを使ってはじき出した薄膜構造モデルに基づき、銅基板上に成長させた2層の鉄ナノ薄膜を作成、これにKITが保有する走査型トンネル顕微鏡(STM)で電場を印加した。この結果、電場印加前には反強磁性を示す部分が多かった一方、印加後には強磁性を示す部分が多くなり、磁化反転が引き起こされたことが確認された。

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研究の成果は『Nature Nanotechnology』(2010年第5号)に掲載された。

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