国立腫瘍センター(NCT)がハイデルベルク大学病院のキャンパス内に建設していた新棟がこのほど完成し、2日に落成式が行われた。NCTはがんに関する学際的な研究を推進・支援するとともに、その成果を速やかに臨床サイドに提供、ガン患者の日々の治療に統合することに重点を置く。これまでは隣接する施設の一角を借りて運営してきたが、独自のセンターが完成したことで研究・治療活動の加速が期待されている。
\NCTはドイツがん研究センター(DKFZ)、ハイデルベルク大学病院、ハイデルベルク大学医学部、ハイデルベルク大学病院付属胸部疾患病院、ドイツがんサポート協会の5者が米国と北欧のがん研究ネットワークをモデルに2004年に設立した総合がんセンター。国内の大学病院や企業と連携して新たな治療法の開発に向けた学際的な研究を進めるほか、基礎研究の成果を予防・診断・治療といった臨床医療に応用できるレベルへとすみやかに発展させるトランスレーショナル・リサーチ(橋渡し研究、TR)も行っている。
\新棟の延べ床面積は5,565平方メートルで、研究施設と外来診療施設が併設されている。入院設備はなく、入院治療が必要な患者は隣接する大学病院と胸部疾患病院に収容される。治療方針は患者が外来診察を受けた後に学際的な専門家チームが集まり個別に決定するという。建設コストは2,900万ユーロに上った。
\落成式に出席したフィリップ・レースラー保健相は、「(NCTの新センターは)がん患者に最高レベルの医療を提供する模範的な施設だ」と述べ、今後の活動に期待を表明した。
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