独北西部のノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州はこのほど、米石油大手エクソンモービルとオーストラリア、カナダ、ドイツの企業計10社が同州で計画している非在来型天然ガスの探査事業にゴーサインを出した。エクソンモービルは間もなく試掘を開始し、2年間の探査を行う計画。埋蔵状態の良い地層が見つかり採算がとれると判断した場合、その3年後にはドイツで初めて非在来型天然ガスの商業生産が始まる見通しだ。
\非在来型天然ガスは、泥土が堆積して固まった岩の層に閉じ込められており、これまでは採掘が難しく放置されていた。数年前から米国を中心に、水圧で硬い岩層を破砕してガスを採取する技術が確立され、米国はこの3年間で天然ガスを100%自給できるようになった。
\ドイツは天然ガス需要の20%を自給できるが、従来のガス田の埋蔵量は減少しており、シェールガスへの期待が高まっている。エクソンモービルなど10社はNRW州の面積のほぼ半分に相当する地層を探査する計画だ。
\非在来型天然ガスの中では米国で生産されるシェールガスが最もよく知られている。一方、NRW州にはルール炭鉱地帯があるため、埋蔵されている非在来型天然ガスの大半はシェールガスでなく炭層メタンガスである可能性が高いという。
\エクソンモービルはすでに同州に隣接するニーダーザクセン州でシェールガスを探査しており、競合シェルと折半出資の合弁会社BEBはこれまでに7つの試掘井を掘削した。
\ただ、水圧破砕に利用する水分に多少の化学物質が含まれるほか、採取する際に有害メタンガスが地上に漏れる恐れもあり、環境政党の緑の党などは試掘に懸念を示している。NRW州ではすでに、試掘に反対する市民運動が動き出した。
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