キナーゼの1種でTAK1と呼ばれる酵素が関節リウマチ(RA)の発症と進行に大きくかかわっていることを、ヘルムホルツ感染研究センター(HZI)を中心とする国際研究チームが突き止めた。チームはまた、TAK1が作用する細胞の特定にも成功。RA発症マウスでTAK1シグナルを阻害したところ、炎症はほぼ完全に消滅したという。
\RAは自分の関節に対して免疫系が攻撃してしまう病気(自己免疫疾患)で、炎症が続く結果、関節痛や関節の変形が生じる。
\TAK1はベータ型変異増殖因子(TGF‐β)によって活性化されるキナーゼで、炎症に関わるシグナル伝達経路(炎症性サイトカインTNF-αの発現など)で中心的な役割を果たすことが知られている。
\HZI、ハノーバー医科大学、仏モンペリエ大学などの研究チームは、自己免疫系疾患でTAK1がどのように関与しているかを調べるため、RAを発症したマウスの単核性食細胞で、RNA干渉法を利用してTAK1の発現をノックアウトさせた。この結果、下流のJNK、NF-κB経路の活性化が制御され、マウスの炎症は大幅に緩和された。また、自己免疫疾患の発症や進行に関わるTh1細胞とTh17細胞の分化頻度が下がったこともあわせて確認した。
\同研究の成果は『Blood』第116巻18号(2010年11月)に掲載された。
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