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2010/12/1

経済産業情報

光子のボーズ=アインシュタイン凝縮に成功

この記事の要約

ボン大学物理学科のマーティン・ヴァイツ教授を中心とする研究チームは、無数の粒子が全く同じ状態をとり、あたかも1つの巨大な粒子のように振舞う現象「ボーズ=アインシュタイン凝縮(BEC)」を光子(フォトン)で実現することには […]

ボン大学物理学科のマーティン・ヴァイツ教授を中心とする研究チームは、無数の粒子が全く同じ状態をとり、あたかも1つの巨大な粒子のように振舞う現象「ボーズ=アインシュタイン凝縮(BEC)」を光子(フォトン)で実現することにはじめて成功した。この現象を応用することで、従来の技術では不可能だった極めて波長の短いレーザー装置の開発に道が開けるとチームは期待を寄せる。

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BECとは、ボーズ=アインシュタイン統計に従う粒子系(ボーズ粒子)において、低温で密度を増大させた場合に、すべての粒子が最低エネルギー状態に収容されてしまう状態。ルビジウム原子やナトリウム原子など、いくつかの気体原子や準粒子で同現象が確認されている。

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光は波動であると同時に粒子としての性質もあわせ持つため、BECは理論的には可能と言われてきたが、光子は温度を下げると消滅してしまうため、実現は不可能と考えられていた。

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ボン大学のチームはこの問題を解決するために超高反射率のミラーで内側を覆い、色素溶液を満たした小さな空洞を作製。レーザー光を照射して黄色~青色の光を供給し続けるとともに、ミラーの位置を工夫して最もエネルギーの低い黄色の光子だけが中央に集まり、それより色温度の高い光子は周辺に飛ぶようにした(量子力学でいう蒸発冷却)。中央に集められた光子は初めのうちは比較的自由に空洞の中を動いていたが、光子が6万3,000個に達した時に黄色に輝く1つの点が現れ、BECが起こったことが確認された。

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研究結果は『Nature』誌に掲載された。

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