独電力大手RWEと石炭大手RAGは11月23日、風力揚水発電所を建設することで基本合意した。同発電所は風力発電による電力を利用して揚水し、電力需要が大きくなる時間帯に水力で発電するというもので、風力電力の蓄電池として機能する。建設予定地はノルトライン・ヴェストファーレン州のハム市にある炭鉱のぼた山で、両社は今後、経済性や技術的実現可能性などを調査したうえで具体的な計画を策定。遅くとも2014年末までに稼働開始にこぎつけたい考えだ。
\風力、太陽光などを利用した分散電源は気象条件によって発電量が大きく左右され、供給が安定しないという問題を抱えている。国内総発電量に占める分散電源のシェアは年々増えているため、分散電源からの供給過剰の際に一時的に蓄電ないし別のエネルギーに変換することで送電網への負荷を平準化する技術への関心は急速に高まっている。
\風力揚水発電所の建設地に予定されているのは、ハム市のペルクム地区にあるズンダーン炭鉱(2010年閉山)のぼた山だ。下部貯水池(下池)と上部貯水池(上池)の高低差は60メートル、合計貯水量は60万立方メートルで、揚水発電の出力は15~20メガワットと見込まれている。
\RWEの担当者はぼた山に風力・揚水を組み合わせた発電所を建設するメリットとして、◇周辺より100メートルほど標高が高く風況がよい◇掘削で生じた高低差がそのまま利用できる◇掘削後の裸地を利用するため工事で既存の植物を伐採する必要がなく、環境破壊を危惧する住民からの理解も得やすい――の3点を挙げた。
\RWEとRAGはプラントの建設期間を2年と見込んでおり、2014年稼働開始を実現するために認可手続きを迅速化するよう州政府に要請した。
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