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2010/12/22

企業情報

Hochtief AG―ACSがTOB条件改善、成立の公算高まる―

この記事の要約

スペインの建設大手ACSは15日、独同業Hochtiefに対する株式公開買い付け(TOB)の条件を改善した。当初の条件でTOBに応じた株主がほとんどいなかったためだ。これが奏功し、翌16日にはHochtiefの第3位株主 […]

スペインの建設大手ACSは15日、独同業Hochtiefに対する株式公開買い付け(TOB)の条件を改善した。当初の条件でTOBに応じた株主がほとんどいなかったためだ。これが奏功し、翌16日にはHochtiefの第3位株主である投資会社Southeastern Asett Managementが保有株の約半分をACSに売却する意向を表明しており、TOBが実現する公算は大幅に高まってきた。

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ACSはHochtiefの筆頭株主で、9月に買収計画を発表した。TOBを通して出資比率を30%超まで引き上げ、その後は市場で買い増し50%超を確保する考え。すでにドイツ連邦カルテル庁から許可を得ている。

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当初のTOB条件はACS株8株につきHochtief株5株を割り当てるというもので、Hochtiefを1株当たり約56ユーロと評価していた。だが14日までに確保した株式は277株と極めて少なく、今回ACS株9株につきHochtief株5株へと条件を改善。Hochtiefへの評価を1株当たり64.49ユーロへと引き上げた。

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Southeastern Asett ManagementはHochtiefのおよそ200万株をACSに売却する。これは出資比率で約2.6%に相当する株式で、ASCの持ち株は現在の27.25%から30%弱へと上昇、目標達成は目前に迫っている。

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Hochtiefの経営陣はACSのTOBを阻止する考えで、10日には中東の産油国カタールを対象に第3者割当増資を実施。ACSの出資比率を従来の29.98%から27.25%へと低下させ、TOB実現のハードルを引き上げた。ACSのTOB提案には応じないよう株主に呼びかけている。

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Hochtief経営陣がACSのTOBを不適切とするのは、(1)Hochtiefの価値を不当に低く評価している(2)買収に伴うデメリットも大きい――と判断しているためだ。(2)については◇巨額の債務を抱えるACSの傘下に入ると、Hochtiefの資金調達条件が悪化する◇売り上げの4分の3を不動産バブルが崩壊したスペイン市場で得るACSはHochtiefにメリットをもたらさない――などと説明している。

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Hochtief株9.09%を獲得したカタールは同社とACSの争いの調停に意欲を示している。このため、両社の協議が実現した場合は同国が何らかの形で関与する可能性がある。

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