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2011/1/26

経済産業情報

「火薬のクルト」、周辺住民は週末が台無しに

この記事の要約

ドイツには爆弾や兵器の収集魔が多いのだろうか。2009年の夏には手榴弾を住宅地で爆破させた男がヘッセン州南部の自宅に籠城、投降後に警察が家宅捜査を行ったところ、TNT爆弾や数千発の弾薬、マシンガン、突撃銃、手榴弾が大量に […]

ドイツには爆弾や兵器の収集魔が多いのだろうか。2009年の夏には手榴弾を住宅地で爆破させた男がヘッセン州南部の自宅に籠城、投降後に警察が家宅捜査を行ったところ、TNT爆弾や数千発の弾薬、マシンガン、突撃銃、手榴弾が大量に見つかった。室内はまるで城塞のようで、内部にはブービートラップ(仕掛け爆弾)が仕かけられていた。

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それから1年半ほどが経った今月の第3週、今度はお隣のラインラント・ファルツ州でさらに大きな騒動が起きた。

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きっかけは警察当局が18日に行った家宅捜査だ。対象は州内の家屋3カ所で、そのうちの2カ所から大量の武器弾薬が見つかった。特にマイゼンハイム市の家屋からは小火器50丁、弾薬5万~6万発が押収された。

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一般の市民がこれだけの武器を所持しているだけで大ニュースなのだが、さらに度肝を抜かす出来事がその数日後に待っていた。

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警察は捜査のなかで、マイゼンハイム市の容疑者が近隣のベッヒャーバッハ村で借り受ける納屋にも大量の爆発物がある事実をキャッチ。21日に家宅捜査を行ったところ、小火器や古びた軍用車両のほか、ニトログリセリンとおぼしき爆薬を発見した。州内務省によると、その量およそ50キログラム。

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警察はこれを受けて半径1キロメートルの住民を全員、退避させた。避難した住民は約550人。村の人口は900人程度であるから、6割が該当した計算だ。退避時間は最終的に16時間におよんでおり、これらの村民は知人や知り合いの家ないし当局が提供した避難施設で一夜を過ごす羽目となった。

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爆薬は専門家が現場から1.3~1.4キロほど離れた場所で爆破させて処理。人や動物に被害はなかったものの、爆破地点から300メートル離れた墓地ではガラス戸が2枚、割れたとのこと。地元メディアによると、爆破音は20キロ離れた場所でも聞こえたという。

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この騒動を引き起こしたのは62歳の年金生活者クルト・N。地域住民は以前から彼を「火薬のクルト」と呼んでおり、物騒な人物であることは広く知られていたようだ。ただ、ここまで大量の武器弾薬を所持しているとは誰も思っていなかったであろう。

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彼がどんな人柄だったかはマスコミで伝えられていない。ただ、18日に家宅捜査を受けた際にショックで失神を起こし病院に運ばれたというから、神経は細いようである。

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