ドイツの家具製造業界で値上げの機運が高まっている。繊維(ファブリック)、皮革、金属などの原料価格が高騰しているうえ、人件費や販売コストの削減といった経営努力も限界に達しているためだ。
\無垢材(天然の木材)と木質原料のパーティクルボードを併用してタンス・ベッドを製造するWiemann(ニーダーザクセン州ゲオルクスマリーエンヒュッテ)は特に木質原料の値上がりに苦しんでいる。同社のマルクス・ヴィーマン社長が『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に明らかにしたところによると、価格は「過去2年で1.5倍に上昇した」。
\パーティクルボードはPfleiderer、Glunzや墺Eggerなど大手4社による寡占市場。これらの原料メーカーは不採算を理由に生産能力を大幅に縮小した。また閉鎖工場を売却する際は「パーティクルボードを生産しないこと」を売却先企業に義務づけるため、家具メーカーが共同で工場を買い取って自前でボードを生産することもできない。Wiemannのヴィーマン社長は、家具メーカーに残された選択肢は、原料値上がり分を顧客に転嫁するか、原料の構成比率を変更して価格を据え置くかの2つしか残されていないと嘆く。
\皮革は景気回復に伴い自動車・靴業界で需要が急回復した結果、需給がひっ迫し価格が上昇している。また、綿は天候不順による綿花の不作に加え、投機資金流入で価格が高騰。絹は主要産地である中国の輸出制限が響いている。
\ただ、家具メーカーが値上げを実現するのは容易でない。小売店はメーカーとの価格交渉に業界団体レベルで臨むためだ。低価格家具の販売が拡大し値下げ圧力が高まっていることもメーカーには不利に働く。
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