北アフリカ・中東にソーラー・風力発電設備を設置し電力を現地と欧州に供給する「デザーテック」計画で、推進団体のDIIは10日、モロッコにパイロット施設を建設すると発表した。同計画で発電所の建設が決定したのは今回が初めて。ドイツのライナー・ブリューデルレ経済相は「将来のエネルギー供給に向けた軌道が今日、定められた」と述べ、歓迎の意を表明した。
\パイロット施設は発電能力400メガワットの太陽熱発電所と同100メガワットの太陽光発電所の2つからなり、DIIは2013年に公開入札を実施して参加企業を選定する。送電開始は2015~16年となる見通し。
\建設地は未定だが、独『ターゲスシュピーゲル』紙によると、マラケシュの南東200キロのワルザザートが有力なようだ。同地にはモロッコ国営企業Masenが出力500メガワットの太陽熱発電所を建設することが決まっている。
\DIIの施設で発電された電力はモロッコと欧州に供給される。供給量の内訳は太陽熱発電が欧州80%、モロッコ20%、太陽光発電が欧州20%、モロッコ80%をそれぞれ予定する。DIIは今回のプロジェクトを通してデザーテック計画の実現可能性を調査する。
\デザーテック計画は『成長の限界』で有名なローマクラブの「環地中海再生可能エネルギー(TREC)」イニシアチブがまとめた構想から生まれたプロジェクトで、総額4,000億ユーロを投じて北アフリカと中東の各地に再生可能発電所を建設。2050年までに現地の全電力需要と欧州需要の15%をまかなうことを目指している。近代的な産業のとぼしいこれら地域の経済発展を促進するという狙いもある。ブリューデルレ経済相はチュニジアやエジプトの政情不安を念頭に「デザーテックは北アフリカの人々に長期の経済的な見通しを提供できる」と述べ、計画実現に向けドイツ政府が外交・政治面から支援していく考えを示した。
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