フォルクスワーゲン(VW)は米国で販売するグループの車両で故障が多発している問題で、リコールを当面、見合わせる方針を打ち出した。ディーゼル車に誤ってガソリンを給油したことが不具合を引き起こしたとみられるため。昨年起きたトヨタバッシングを踏まえ、責任の所在が明確になっていない時点でリコールを実施すると経営リスクが急激に膨らみかねないと判断したもようだ。
\問題となっているのは2009年・10年式のVW「ジェッタ」と最新のVW「ゴルフ」および2010年式のアウディ「A3」の計3モデルで、すべてVW製の「2.0リッターTDIクリーン・ディーゼルエンジン」を搭載している。故障が起きたのは燃料噴射ポンプで、ポンプが脱落したケースもある。これまでに約160件の苦情が当局に寄せられている。
\事態を重くみた米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は11日、調査対象を該当する3モデルの計9万7,000台強に拡大することを明らかにした。
\これに対しVWは、ディーゼルエンジン車に微量のガソリンを給油しただけで故障が起こることを指摘。そのうえで同社が調査した50件のうち90%では燃料タンクからガソリンが検出されたとして、給油ミスが故障の原因との見方を示した。残り10%についてもガソリン混入の可能性が高いとしている。
\故障が発生したのは米国に限られている。米国ではディーゼル車の普及率が極めて低く、ガソリンを給油できない事実を知らないドライバーも多いため、給油ミスの可能性は十分に考えられるようだ。
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