カーエレクトロニクスの電導線に銅とともにアルミニウムを使用するための新しいコネクターコンセプトを、ミュンヘン工科大と高級車メーカーのBMWが共同開発した。アルミの持つクリープ特性や膨張性が高いという性質を逆手に取ったのがポイント。試作品など研究の成果は今秋のフランクフルトモーターショー(IAA)で紹介する予定だ。
\銅は銀に次いで室温での比抵抗(単位体積あたりの電気抵抗値)が小さく、銀より安価なことから、カーエレクトロニクスをはじめ電子・電気機器のほとんどで導線として使用されている。しかし、昨今の銅価格高騰や車両軽量化のニーズを踏まえ、銅より大幅に安く、比重も3分の1のアルミニウムを利用することへの関心が高まっている。
\ただ、アルミは◇一定の温度や応力を受けたことによる変形(クリープ現象)の起こる温度が低く、最大で300度を超える自動車内部の部品としては使いにくい◇温度膨張性が高くはんだ付けが困難――といった難点がある。また、アルミ線と銅線を接触させて使用すると、アルミと銅の電位差(イオン化傾向の差)によって「電気腐食」と呼ばれる現象が起こり、アルミがボロボロになるという問題もある。
\ミュンヘン工科大とBMWのチームは、こうした欠点を解決するコネクターの開発に取り組み、試行錯誤の末、新たなコンセプトにたどり着いた。
\同チームが開発したコネクターは、スチールの薄版で作ったケージでコンタクト部分が固定されている。また、コンタクトはくさび型で、アルミ部分が緩く差し込まれたようなデザインを採用。この2つの工夫により、アルミがクリープ現象で変形するたびにコンタクト部分の接触性が逆に高まり、長期的な安定使用が可能になるという。電気腐食の問題については、アルミ合金と貴金属保護膜の構造を最適化することで解決できるとしている。
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