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2011/2/16

経済産業情報

工場排熱をコンテナで回収

この記事の要約

工場排熱をコンテナに蓄えて運び暖房・給湯熱源として有効活用するサービスを、ドルトムントの新興企業LaThermが開始した。エコカイロの蓄熱材として利用される酢酸ナトリウムを充填したタンクを排熱源に取り付けて蓄熱するもので […]

工場排熱をコンテナに蓄えて運び暖房・給湯熱源として有効活用するサービスを、ドルトムントの新興企業LaThermが開始した。エコカイロの蓄熱材として利用される酢酸ナトリウムを充填したタンクを排熱源に取り付けて蓄熱するもので、二酸化炭素(CO2)削減にも貢献できる。『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』が14日付で報じた。

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化学産業やゴミ焼却場、セメント産業などの素材産業では多量の熱が発生するが、比較的低温で利用価値が低いため、ほとんどの場合は活用されていない。LaThermの試算によると、国内工場の排熱で活用されないエネルギーの総額は250億ユーロに達するという。排熱をオフィスビルなどの暖房・給湯用熱源として利用することは可能なものの、工場とオフィスを結ぶヒートパイプの設置には莫大なコストがかかる。LaThermはこうした問題を解決するため、可動式のコンテナに蓄熱材を封入して工場に運び、蓄熱後に熱利用施設まで運搬するという技術に目をつけた。

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同社が開発した蓄熱タンクは長さ6.06メートル、円筒胴直径2.44メートルで、タンク容量は17平方メートル。積算放熱量(最大蓄熱エネルギー)は100℃で熱回収し蓄熱材温度が40℃に下がるまで放熱した場合で2.5メガワット時に上る。蓄熱速度は250キロワット、放熱速度は125キロワットで、1日当たりの熱損失は0.5%以下と極めて効率が高い。

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LaThermは2007年の設立で、2010年にボットロップ市の学校とドルトムント・ブラッケル地区の温水プールから初の受注を獲得した。2012年には損益分岐点を超えると見込んでいる。

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