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2011/2/16

経済産業情報

地域鉄道、運行事業者指名は入札で=最高裁

この記事の要約

地域鉄道の運行事業者決定をめぐる裁判で独連邦司法裁判所(BGH、最高裁)は8日、地域交通連合会が近郊列車(S-Bahn)の運行をドイツ鉄道(DB)に直接委託することを禁じる判決を下した(訴訟番号:X ZB 4/10)。こ […]

地域鉄道の運行事業者決定をめぐる裁判で独連邦司法裁判所(BGH、最高裁)は8日、地域交通連合会が近郊列車(S-Bahn)の運行をドイツ鉄道(DB)に直接委託することを禁じる判決を下した(訴訟番号:X ZB 4/10)。これにより、運行契約切れを迎える全国の地域鉄道路線では今後、入札が義務づけられることになり、これまでほとんどの路線でなかば自動的に運行を受注してきたDBは競合との厳しい競争にさらされると予想される。

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同係争の発端となったのはライン・ルール地方交通連盟(VRR)とDBの地域鉄道子会社DB Regio NRW(以下:DB NRW)が2004年に結んだ協定だ。同協定によりDB NRWは2018年まで中距離路線(RE、RB)と近郊電車(S1~11号線)合わせて年4,400万キロメートル(実車キロベース)の運行を受託。DBはこの見返りとして運賃収入の一部と州政府の鉄道補助金を受け取るとともに、新規車両の購入を引き受けた。

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ところが政府からの補助金が06年に削減されたことをきっかけに両者は対立。DB NRWによる近郊列車の運行を2023年まで延長することで09年に和解が成立したものの、2018年以降のS5号線(ハーゲン~ドルトムント間)の運行受託に意欲を示していた競合のAbellio Rail NRWは、「DB Regioの業務受託が入札なしで延長されたことは不当」として異議を申し立てた。

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BGHの裁判官は判決のなかで、鉄道一般法(AEG)第15条第2項の特例に従えば、地域経済の振興基盤として運行される鉄道に対して当局は必ずしも入札を実施する必要はないとの解釈を示しながらも、コストの64%を補助金でカバーされた黒字公共事業の委託先を入札なしで決定することは競争制限禁止法(GWB)に抵触すると指摘。AEGとGWBの規定が競合する場合はGWBの規定が優先するとの判断を示した。

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