ドイツ政府は2日の閣議で、「金融再建基金のための法規命令(Rechtsverordnung zum Restrukturierungsfonds)」案を承認した。同案は今年1月1日付で施行された金融再建法に基づくもので、新たな金融危機に備えて設立する「金融再建基金」に銀行が拠出する分担金のルールが具体化されている。今後、連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)の承認を経て、9月30日から徴収が始まる見通しだ。
\同基金は連邦金融安定化庁(FMSA)の下に設立され、FMSAは国内の全銀行から毎年、分担金を徴収する。年総額は約10億ユーロとなる見通しで、基金の規模は最終的に700億ユーロを計画している。
\今回の政府案によると、各行の分担金は最終利益の15%で、業績が悪い年は減額が認められる。この場合も本来の負担額(最終利益の15%)の少なくとも5%は納入しなければならず、また、減額分は翌年以降に納入することが義務づけられる。
\FMSAは年間の分担金とは別枠で、緊急時に特別分担金を徴収できる。
\巨大な銀行が倒産すると金融システムが根幹から揺らぐ。このため2008年秋に深刻化した金融危機の影響で不動産金融大手のヒポ・リアル・エステート(HRE)が経営破たんの瀬戸際に追い込まれた際、国は税金を投入して直接救済に乗り出すことを余儀なくされた。金融再建基金はこの反省を踏まえて設立されるもので、危機に陥った銀行への支援を金融機関が積み立てる基金を通して実行。銀行の経営責任の付けを国や納税者が引き受けるという不条理を回避する。
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