ドイツの書籍業界が電子ブックの普及に期待をかけている。独書籍取引協会が14日発表した業界アンケート調査結果によると、2010年の電子ブック売上高(小売りベース)は2,120万ユーロ、販売部数は200万部に上った。書籍売上高全体に占めるシェアは0.5%にとどまり、ニッチ市場の域を出ていないものの、同協会はアップルの「iPad」をはじめとするタブレットPCの人気が追い風となると予想。2015年には同比率が9.2%に拡大すると見込む。
\書籍取引協会は消費財市場調査会社GfK Panel Serviceに委託し、出版社と書店を対象にアンケート調査を実施。電子ブック出版・販売の現状などをたずねた。
\それによると、2010年に電子ブックを発行または販売した出版社は全体の35%だった。電子ブックを発行していない残りの65%に今後の予定を質問したところ、「今年発行予定」は18%、「12年に予定」は7%、「13年以降」は18%で、「今後も発行する予定はない」は22%にとどまった。「予定なし」の回答は画集や旅行ガイドの出版社で目立つ。
\電子ブックをすでに発行している出版社を対象に発行タイトル数をたずねたところ、1社当たり平均は186件だった。小規模の出版社(従業員10人以下)は同85件、中規模出版社(同11~50人)は171件、大規模出版社(同51人以上)は574件で、規模が大きいほど発行タイトル数も多い。印刷版と電子版がともにある書籍の割合は26%で、10年の新刊では39%に上った。
\電子書籍の再生用端末(ハードウエア)として将来性が見込める機器については、「タブレットPC」との回答が83%(複数回答)で最も多かった。これに「ノートパソコン/デスクトップ」(68%)、「スマートフォン」(55%)が続く。「電子ブックリーダー(専用端末)」は54%と比較的少なかった。
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