刑法上の罪を犯した社員は有罪判決が下った時点で解雇できる。これは日本のルールである。ではドイツはどうかと言うと、ハードルがなかなか高い。ここでは雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)が3月24日に下した判決(訴訟番号:2 AZR 790/09)に即してこの問題をお伝えする。
\裁判を起こしたのはメーカーに勤務していた技術者。同技術者は2006年に逮捕され、07年5月に4年7カ月の自由刑(受刑者の身体を拘束する刑罰。日本の刑法では懲役、禁錮、拘留の区別があるが、ドイツの現行法にはこうした区別がない)を言い渡され服役した。服役期間中に刑務所外での勤務が認められる可能性もあったが、その可否決定が下されるのが08年12月となっていたため、雇用主は同技術者を08年2月付で解雇。代わりの社員を新規採用した。原告はこれを不服として提訴した。
\この係争でBAGが下した判決は原告敗訴だった。判決理由で裁判官は、原告社員は罪を犯すことにより勤務できない状態を自ら作り出したと指摘。こうしたケースでは解雇のハードルが長期病欠理由による解雇よりも低くなると述べ、服役期間が2年を超えれば、解雇できるとの判断を示した。
\裏返して言うと、同2年以内であれば解雇できないということである。
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