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2011/4/13

経済産業情報

再可エネ発電、普及のカギは貯蔵技術

この記事の要約

福島原発事故をきっかけにドイツで再生可能エネルギーへの関心がこれまで以上に高まっている。政府の環境問題諮問委員会はすでに今年1月、「2050年までに電力需要をすべて再可エネでカバーすることは可能」とする提言書を作成。循環 […]

福島原発事故をきっかけにドイツで再生可能エネルギーへの関心がこれまで以上に高まっている。政府の環境問題諮問委員会はすでに今年1月、「2050年までに電力需要をすべて再可エネでカバーすることは可能」とする提言書を作成。循環型社会の現実は夢物語ではなくなっている。ただ、実際の普及に向けては送電網の拡張や送電技術の改善のほか、再可エネの貯蔵技術の確立も欠かせないなど課題は多い。6日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

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ドイツの2010年総発電量に占める再生可能電力のシェアは16.5%(暫定値)に達し、2000年(同6.6%)から2.5倍拡大した。ただ、再可エネは天候に大きく左右され、需要に応じた発電ができないという問題があり、利用を伸ばすにはエネルギー貯蔵技術の開発が欠かせない。

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これについてマックス・プランク協会フリッツハーバー研究所(ベルリン)の関係者は、「バッテリーに充電する電気的貯蔵より、余剰電力でメタンガスなどの炭素化合物を合成する、あるいは電気分解によって水素を製造するといった化学的貯蔵のほうがエネルギー効率が高い」と指摘する。ただ、この方法も実験室レベルでは成功しているものの、大型設備によるトン単位の大量生産技術は確立していない。また、化学的貯蔵のコスト低減のカギを握る、貴金属を使わない触媒の開発も難航しており、実用化には程遠いという。

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