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2011/5/4

経済産業情報

ソーラー発電の周波数緩和、設備の9割強でシステムアップ必要に

この記事の要約

電力の需給バランスの崩れなどで電力網が不安定になった際に太陽光発電装置が送電網から切り離される周波数が今月から緩和された。従来は供給電力の周波数が50.2ヘルツを超えると一斉に切り離されていたが、1日からは50.3~51 […]

電力の需給バランスの崩れなどで電力網が不安定になった際に太陽光発電装置が送電網から切り離される周波数が今月から緩和された。従来は供給電力の周波数が50.2ヘルツを超えると一斉に切り離されていたが、1日からは50.3~51.5ヘルツの幅が持たされている。連邦環境省(BMU)の調べによると、新たな周波数に対応していないソーラー発電装置は全体の9割以上(80万件)に上り、業界関係者はシステムアップに必要なコストは1件当たり150~200ユーロ、全国で1億6,000万ユーロに達すると試算している。

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周波数緩和の背景にあるのはソーラー発電の拡大だ。独ソーラー経済連盟(BSW)によると、2010年のソーラー発電設備設置件数は86万件で、1年前に比べて24万9,000件の増加。総発電能力は7.4ギガワットから2倍強の17.3ギガワットへと拡大した。

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電力供給網では多数の発電機が並列につながっている。また、電力の供給は交流電力で行われているため、全ての発電機が同じ周波数と位相で運転する必要がある。電力の過不足で発電機や送電網に負荷が生じると周波数や電圧が変動して安定供給ができなくなるため、需要に応じた発電ができないソーラー発電はこれまで、地域の供給電力の周波数が50.2ヘルツを超えると自動的に送電網から切り離される仕組みになっていた。

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ソーラー発電が少なかった時代には、ソーラー設備遮断による電力不足を他の発電機で十分補えたが、ソーラー発電能力が拡大した現在では一斉遮断によって数秒足らずのうちに最大12ギガワットの発電能力不足が生じる。これは欧州の電力網で対応できる予備電力の4倍に相当。残りの発電機で電力不足を補いきれなくなるため、大規模な停電につながる恐れがある。周波数を緩和すると、ソーラー発電機が送電網から切り離される時間に幅ができるため急激な電力不足を回避できるという。

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