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2011/5/11

ゲシェフトフューラーの豆知識

上司誹謗で解雇にならないケースも

この記事の要約

根拠がないにもかかわらず上司を誹謗(ひぼう)中傷した社員を雇用主は即時解雇できる。信頼関係が失われ、雇用関係を継続できないとみなされるためだ。だが、特別な事情がある場合はこの原則が適用されないこともある。ここではこの問題 […]

根拠がないにもかかわらず上司を誹謗(ひぼう)中傷した社員を雇用主は即時解雇できる。信頼関係が失われ、雇用関係を継続できないとみなされるためだ。だが、特別な事情がある場合はこの原則が適用されないこともある。ここではこの問題をザクセン州労働裁判所が1月に下した判決(訴訟番号:3 Sa 181/10)に即してお伝えする。

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裁判を起こしたのは重度の障害を持つ社員。同社員の能力と行動に問題があるとみた直属の上司の訴えで事情を聴取する委員会が開かれた際、同社員は5カ月前に上司の暴行を受けたなどと発言。告訴したいと明言した。

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この発言は事実に反していたため、雇用主は2009年4月30日付の文書で即時解雇を通告。念のためにその後に送付した文書で、12月末日付の通常解雇(解雇予告期間を設けた解雇)を通告した。原告が解雇の取り消しを求めて提訴したため裁判となった。

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裁判では第1審のライプチヒ労働裁判所が解雇は行き過ぎで警告が妥当だったとの判断を提示。第2審のザクセン州労裁も第1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、上司に対する誹謗中傷は信頼関係の喪失につながり、原則として重大解雇の理由になると指摘。ただ原告が上司を誹謗した際は極度の心理的な圧力がかかっていたという事情を斟酌すると、解雇よりも軽度の処分が適切だとの判断を示した。

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同州裁は連邦労働裁判所(BAG)への上告を認めなかった。

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