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2011/7/6

経済産業情報

ポリマー中のナノ分子、均一分散に新技術

この記事の要約

バイロイト大学のフェルスター教授を中心とする研究チームは、ポリマー系ナノ複合素材(ポリマーナノコンポジット)で金属ナノ粒子を完全に均一分散させる新たな技術の開発に成功した。チームは今回の成果が新たな半導体技術などへの応用 […]

バイロイト大学のフェルスター教授を中心とする研究チームは、ポリマー系ナノ複合素材(ポリマーナノコンポジット)で金属ナノ粒子を完全に均一分散させる新たな技術の開発に成功した。チームは今回の成果が新たな半導体技術などへの応用につながるものと期待を寄せる。

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ポリマーナノコンポジットは、ポリマー中にナノスケールの微粒子を分散・固定化させた複合材。無機系粒子、金属、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を添加することで熱的・機械的特性が元のポリマーより飛躍的に向上するため、多くの分野から注目を集めている。ただ、ナノ粒子は時間の経過とともに凝集(バンドル)してしまう性質があり、バンドル化阻止技術の開発に世界の研究所がしのぎを削っている。

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バイロイト大学とハンブルク大の共同研究チームが開発した手法は、ポリマー鎖の一方の末端を釣り針のような構造の分子で修飾してナノ粒子に引っ掛けていき、イガグリのようにナノ粒子全体をコーティングして粒子が凝集するのをブロックする。ナノ粒子同士の距離はコーティングするポリマー鎖の長さを変えることで制御する。

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チームは今回、鉄系のナノ粒子と、コーティング剤として2種類のポリスチロール(モル質量3,300g/mol、7,600g/mol)を使用して実験を行った。作成したポリマーナノコンポジットを走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したところ、いずれのポリスチロールの場合も極めて均質にナノ粒子が分散していることが確認された(写真参照)。

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研究の結果は『Angewandte Chemie』に掲載された。

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