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2011/7/13

総合 - ドイツ経済ニュース

CCS法案が連邦議会で可決、州に建設拒否権あり実効性に疑問も

この記事の要約

二酸化炭素(CO2)の分離・貯蔵(CCS)技術の導入と利用に向けた連邦政府案が7日の連邦議会(下院)で可決された。研究・デモ目的に限り貯留施設の建設を認めるもので、プロジェクト事業者に事故に伴う損害の賠償責任を負わせるこ […]

二酸化炭素(CO2)の分離・貯蔵(CCS)技術の導入と利用に向けた連邦政府案が7日の連邦議会(下院)で可決された。研究・デモ目的に限り貯留施設の建設を認めるもので、プロジェクト事業者に事故に伴う損害の賠償責任を負わせることなども盛り込まれている。ただ、施設建設の事実上の拒否権が州に認められており、実効性には疑問が残る。

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同法案はCCS技術の安全な導入と利用を加盟国に義務づける欧州連合(EU)のCCS指令を国内法に転換するもので、CCS技術の長期利用への道を開くとともに、CO2を半永久的に安全貯留する技術の確立に重点が置かれている。対象となる貯留施設は2016年末までに申請された研究・実証プロジェクトで、CO2貯留量は施設1カ所当たり年最大300万トン、国全体でも同800万トンを上限とする。

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法案にはCCS建設を認めるかどうか、認める場合はどの地域を建設可能とするかを各州が州法で定められるとの条項が盛り込まれている。CCS貯留に適した地層を持つのは北ドイツの一部に限られており、それらの地域を管轄する州が反対に回れば国内のどこにも大型のCCS施設を建設できなくなる可能性がある。シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州とニーダーザクセン州はすでに州内のCCS施設阻止に回る方針を表明しており、CCS推進派であるブランデンブルク州も孤立無援の中では建設に踏み切りにくいとの見方が強い。電力大手バッテンフォールは「州による決定権が残されている限り、我々はドイツでCCS研究に投資することは不可能だ」として法案を強く批判、見直しを強く求めた。

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