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2011/7/20

経済産業情報

カルテル罰金に対する遅延利息は「違憲」

この記事の要約

カルテル制裁金に対する遅延利息賦課をめぐる係争でデュッセルドルフ高等裁判所はこのほど、カルテル罰金の支払いの遅れに遅延利息を課すとする競争制限禁止法(GWB)の規定は違憲との判断を示した。裁判による罰金判決などでは遅延利 […]

カルテル制裁金に対する遅延利息賦課をめぐる係争でデュッセルドルフ高等裁判所はこのほど、カルテル罰金の支払いの遅れに遅延利息を課すとする競争制限禁止法(GWB)の規定は違憲との判断を示した。裁判による罰金判決などでは遅延利息がなく、連邦基本法(憲法)3条1項で定める平等原則に反するとしている。

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Gothaer、HDI、アクサなど保険16社と担当取締役は2005年5月、産業用保険で談合を行っていたとして連邦カルテル庁から総額1億5,000万ユーロの罰金支払いを命じられた。カルテルに関与していた企業は制裁金を不当として09年3月、デュッセルドルフ高裁に提訴したが、Gothaer(制裁金640万ユーロ)は同年7月に提訴を取り下げた。連邦カルテル庁はこれを受け、制裁金の通達を出してから同社が提訴を取り下げるまでの期間の遅延利息として170万ユーロを課金したことから、新たな係争に発展した。

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カルテル庁による遅延利息請求の根拠となっているのはGWB81条第6項の規定だ。同条項によってカルテル当局は、罰金の支払いの遅れに対する遅延利息を課すことが認められている。支払いを引き延ばす目的でカルテル企業が訴訟を起こすことを抑止する狙いがある。

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当該保険カルテルの案件を審理しているデュッセルドルフ高裁の裁判官は、◇カルテル庁が通達した制裁金には遅延利息が認められる一方、裁判による罰金判決には遅延利息がない◇交通法やデータ保護法違反など他の犯罪に対する罰金にも利息が課されない◇カルテル遅延利息は法人のみ課せられ、個人は対象外――と指摘。この上で、連邦憲法裁判所に質問書を提出し、見解を仰ぐことを決定した。現在並行して行われている14社に対する訴訟(請求されている遅延利息総額2,500万ユーロ)の最終判断は連邦憲法裁からの回答を踏まえて行う。

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