家庭やビルの屋上などに設置できる定格出力数キロワット(kW)~数十kWの小型風力発電装置に対する関心がドイツでも高まってきた。英国などに比べ普及規模はまだ小さいものの、フラウンホーファー風力エネルギー・エネルギーシステム研究所(IWES)によると、電力価格の高騰や地球温暖化防止に対する意識の高まりを背景に、設置を検討する家庭や企業は確実に増えているという。
\独風力エネルギー全国連盟(BWE)によると、ドイツ国内の風力発電設備2万2,000基(総出力2万7,000メガワット)のうち出力5kW以下の小型設備は4,000基に過ぎない。英国で2005~09年に設置された小型風力発電装置が1万基(合計出力20メガワット)に達するのと比べ大きな開きがある。
\それでも、2009年に新設された再生可能エネルギー見本市「NewEnergy Husum」に小型風力発電設備を出展する企業は初年の1社から11年には70社へと拡大。また、09年には小型風力発電装置メーカー団体(BVKW)が結成されるなど、国内でも関心は着実に高まっている。
\ただ、小型装置は大型装置に比べ立地(設置高度)や規模(ローター径)、風向きの頻繁な変化(建物などの障害物よる風の乱れ)などの点で条件が不利で、発電効率は低い。また、量産化が進んでいないため装置は概して高価で、BWEによると出力1kW当たりの購入費用は2,000~1万ユーロに達する。発電1kWh当たりの生産価格が11.3~32.6セントと太陽光発電より安いこともあり、補助金額は1kWh当たり9.2セントとソーラー発電を大きく下回る。
\BWEはこのため、小型風力発電が経済的に機能するのは離島や携帯電話中継局、ヨット、キャンピングカー、特定のシーズンだけオープンするリゾート地の貸別荘など地域の電線網が利用できない設備、あるいは競争不足から電力価格が高い地域などに限られるとしている。
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