欧州連合(EU)の欧州司法裁判所が「遺伝子組み換え作物(GMO)の花粉が混入したハチミツ(花粉製品含む)は、混入率の多寡によらず販売認可が必要」とする判決を下したことを受け、ドイツ国内で混乱と当惑が広がっている。ハチミツの主要輸入先国である中南米や中国ではGMO栽培が大規模に行われており、ドイツ国内で流通する製品の大半にGMO花粉が含まれている可能性があるためだ。最悪の場合、ハチミツのほとんどが認可基準に達せず小売店から姿を消す恐れがある。
\ドイツはハチミツ需要の8割を輸入に依存するが、輸入先国の多くではGMO栽培が行われている。最大の輸入先であるアルゼンチン(2万1,904トン)のGMO作付面積は2,290万ヘクタール、4位のウルグアイ(4,907トン)は110万ヘクタールに上る。また、中国は約2,400トン(2009年)と輸入シェアはそれほど大きくないものの、EUで認可されていないGMOも栽培されており、同国産のハチミツをブレンドした製品は販売できなくなる可能性が高い。
\ハチミツ業界団体は、「中南米で栽培されているGMOはEUでも認可されており、実質的に影響は出ない」との考えを示す一方、連邦農業省の担当者は「GMOが流通認可を受けていたとしても、その花粉が食品として流通認可を受けていなければ、当該の花粉を含むハチミツも流通できなくなる」と指摘する。
\大手ハチミツメーカーはECJ判決を受けて、独自基準の作成に乗り出した。一方、アイクナー連邦消費者保護相は各州と対応を協議するとともに、「今回の判決はEU加盟国全体にかかわるもので、影響が大きい」として、欧州委員会に対策案の提示を求める方針だ。
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