工場やオフィスの屋根に太陽光発電パネルを設置して消費電力の一部を賄う中小企業が増えている。電力料金の高騰や自然エネルギーへの関心の高まりに加え、今後の電力安定供給への不安などが背景にあり、コメルツ銀行の再生可能エネルギー関連業務担当者によると、ソーラー敷設が可能な社屋を持つ同社の顧客企業の3社に1社が、今後数年内の設置を真剣に検討しているという。16日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
\中小企業はこれまで、ソーラーパネルの敷設には概して消極的だった。自社でパネル設置・保守管理を行えるほど会社の規模が大きくないため業務を外部に委託せざるを得ないが、社外の第三者が頻繁に工場の屋根に登って作業すると情報流出の懸念があるためだ。
\だが、原発廃止の前倒しを受けて電力料金や安定供給への不安が高まったほか、再生可能エネルギー法(EEG)の新規定で自家発電のメリットが強まったことから、風向きが変わりつつある。ソーラーパネルを屋根に設置することで「環境に配慮する企業」を目に見える形でアピールできることも見逃せない。
\今年から適用されたEEGの規定では、ソーラー電力を自家発電すると、自家消費比率30%までは1キロワット時当たり9.48~12.36セント、30%以上では同13.86~16.74セントの助成金が支給される。一般電力網に供給(売電)するより助成額は低くなるものの、これまで電力会社から購入していた電気代が節約できるため、売電より4~9セント得になる計算という。
\コメルツ銀の担当者は「企業が電力需要の2~3割を自前のソーラー設備で賄うことは可能」と指摘。電力価格が今後も上昇を続けるというシナリオではおよそ20年で投資の元が取れるという。
\