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2011/9/21

経済産業情報

オーファンドラッグに製薬会社が注目

この記事の要約

患者の絶対数が少なく採算が取れないとして製薬会社がこれまで開発に消極的だった希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)への関心が高まっている。巨額の売り上げをもたらすブロックバスター(年商10億ドル以上の医薬品)の開発・上市 […]

患者の絶対数が少なく採算が取れないとして製薬会社がこれまで開発に消極的だった希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)への関心が高まっている。巨額の売り上げをもたらすブロックバスター(年商10億ドル以上の医薬品)の開発・上市が年々困難になっているほか、オーファンドラッグ開発促進に向けて欧州連合(EU)や米国の認可当局が手厚い開発支援策を講じていることが背景にある。13日付『フランクフルター・アルゲマイネ』が報じた。

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欧州でのオーファンドラッグ認可申請数はほぼ右肩上がりで増加しており、2010年には2000年(72件)の2倍以上の172件へと拡大した。スイスのロシュとノヴァルティスは業界に先立ちオーファンドラッグの開発に早くから着手、両社とも40種類以上の医薬品が米食品医薬品局(FDA)から「オーファンドラッグ」に指定された。米ファイザーや英グラクソスミスクラインも開発に力を入れる。

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オーファンドラッグの開発に取り組むのは大手メーカーだけではない。独ヴァインハイムに本社を置くバイオ企業Cytonetは、先天性代謝異常である尿素サイクル異常(UCD)の治療薬を15年前の設立当時から一貫して開発している。UCDは尿素サイクルの酵素異常によって高アンモニア血症が生じる病気で、新生児のおよそ8,000人に1人が発症する。Cytonetの設立者でもあるリューディンガー研究開発部長によると、同疾患を持って生まれた子供の平均生存期間は「3~4年」という。

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UDCには有効な治療薬がなく、重症患者の根本治療は肝臓移植しかない。ただ、体の成長や臓器の大きさの関係から、ほぼ同年齢のドナーの臓器を移植する必要があり、実際に移植を受けられる可能性は非常に低い。

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Cytonetはこうした事情を踏まえ、肝細胞懸濁液を肝門脈に注入するという新たな技術を開発した(特許取得済み)。現在、米独の乳幼児およそ20人を対象に臨床試験を実施している。

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