欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/9/28

経済産業情報

官民連携の道路建設、民間側は透明性確保へ

この記事の要約

独建設業全国連盟(HDB)のトーマス・バウアー会長は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に対し、官民連携(PPP)方式のアウトバーン(高速道路)建設プロジェクトで建設業界側の情報開示を推進する方針を明らかにした。企業秘密 […]

独建設業全国連盟(HDB)のトーマス・バウアー会長は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に対し、官民連携(PPP)方式のアウトバーン(高速道路)建設プロジェクトで建設業界側の情報開示を推進する方針を明らかにした。企業秘密の保護を理由に政府・企業間の契約内容が公開されないことが議会や住民の不信感を招き、建設反対運動につながっているため。信頼を獲得するには透明性を高める必要があると強調した。

\

PPP方式によるアウトバーン建設プロジェクトでは、競合に戦略などを知られると将来の事業が脅かされるため、政府との契約内容は通常、公開されない。しかし、建設プロジェクトで直接影響を受ける自治体でさえ契約内容を知らされないことについては不満も根強い。また、アレンスバッハ世論研究所(IfD)が独産業連盟(BDI)などの委託で実施した世論調査によると、大型プロジェクトの実施を問題視する国民は58%に上るなど市民の不信感は大きい。

\

ノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州政府は、連邦政府が進めるアウトバーンA1号線の6車線化PPPプロジェクトで工事差し止めの方針を表明した。作業開始からこれまでに6,000件の事故が発生し、約10人の死亡者が出たことを重くみたもので、「建設会社は安全よりコスト削減を重視している」と批判している。

\

これに対しHDBのバウアー会長は情報の不透明さがこうした不信感を招く原因になっているという認識を示す一方、「建設会社は道路建設だけでなく、完成後の運営・管理にも責任を負う。安全の質を落とすなど論外」と指摘。事故の多発がコスト効率重視の結果という考えに対しては「言いがかり」と反論した。

\